Interview

専門の海洋騒音問題の外にある、情報学の知識・知見に触れる機会を得られた

小川 真由

小川 真由さん

農学研究科
応用生物科学専攻

Outline

──プラットフォーム学を志した理由は?

海の騒音は日本ではまだあまり知られていない問題です。海にはいろいろな音があふれていますが、近年、船の発する騒音が特に増加しており、この数十年で5倍になったという研究もあります。生物の生存、繁殖、コミュニケーションに悪影響をおよぼす要因になるという指摘もあり、この問題を解決したいと考えています。しかしながら、対象生物や騒音源は多岐にわたり、取得するデータや影響評価の方法もばらばらです。問題の解決のためにはデータベースを統合して活用できるようにすることが大切で、そのためにプラットフォームを構築するという本プログラムに参加することで問題解決に貢献できるのではないかと考えました。

──現在取り組んでいるテーマは?

海洋騒音問題を解決できるプラットフォームの構築を研究課題としています。大きく2つの方法で取り組んでいます。ひとつは特に騒音影響を受けやすいと考えられる海洋生物の鳴音(なきごえ)と騒音源および騒音レベルを自動で検出、評価するシステムを構築すること、もうひとつはどの程度の音響曝露を受ける時に対象生物にどのような影響を受けるかの影響評価データベースを構築することです。モデル生物としてスナメリを対象として、船舶騒音によってどのような影響を受けているかの定量評価を行なっています。船舶騒音は主に低周波で構成されているため、現状では超音波帯の生物についての影響評価がほとんどされておらず、超音波帯の音を主に用いるスナメリはモデル生物として最適です。この2つを通じて騒音が海洋生物へ与える影響を評価するプラットフォームを構築しようと考えています。

──プログラムを通じて得たものは?

私は農学研究科に所属しているため、情報学の知識が不足していました。本プログラムでの講義やセミナーを通じ、情報通信などの基礎から、技術の社会への適用、実際にどのようなプラットフォームがあり、その問題点は何かをケーススタディーすることができました。また、これを自分の研究にフィードバックした際にどんな問題が出るか、越えなければいけない壁は何かが分かり、どう解決していくべきかを含めて知れたのは大きいと思っています。

──あなたにとってプラットフォームとは?(あるべき姿、作っていくべき未来など)

プラットフォームは今後、社会問題だけでなく、日常的な問題の解決にも使える一般的なツールになると思います。講義でさまざまな課題に対するプラットフォームを観てきましたが、身近なものも多くて印象に残っています。こうしたプラットフォームがいろいろな分野に適用され、より身近になり、知らない間に使っているようなものになっていくことが必要なのではないでしょうか。

──いまの世界をほんの少し良くしようと思ったら、何が必要だと考えますか? もしくは何をしたいと思いますか?

プラットフォーム学そのものからは離れますが、自分が想っていることを伝える勇気を少しだけみんなが持つことが大事だと思います。生物を研究対象にしていると、多くの人が人間のことだけを考えていることに気付きます。でも、それは生物たちが現状どのような危機にさらされているのかを知らないからです。そのため人々の視野を広げ、きっかけやリファレンスとなるものとしてプラットフォームがあるといいと思います。いま生物はこうした状況に置かれていて、だから自分たちは何をしなければならないかなど、直接興味を持っていない人に対しても情報発信していくのが大事です。

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