Interview

気候変動が深刻化する中、10年、20年先を見据えた新しい小麦の品種をデザインしたい

Nie Jilu

Nie Jiluさん

農学研究科
農学専攻

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──プラットフォーム学を志した理由は?

私が大学に入学する以前、30~40年前の育種は、人間の経験を利用して作物を改良するものでした。その後10~20年前にDNAマーカーが用いられるようになり食物の改良などが進みました。しかしその後は新しいアプローチが出ていません。自動車や建物といったさまざまな分野で、情報学の知識やビッグデータを活用して人を助ける仕組みが用いられています。しかし、育種にはまだそういったプラットフォームがないため、それを作りたいと考えました。

──現在取り組んでいるテーマは?

新しい作物をデザインし、改良していくためのプラットフォームを研究しています。人類が大規模な気候変動にさらされる中、育種に明確な目標が持てていないという状況があります。従来の育種では、小麦の収量をどうすれば高くできるかといった目標を掲げてきました。1品種を育成するためにかかる期間は10年だと言われていますが、気候変動の速度が加速する現状を考えると、いまの環境だけを見ていては間に合いません。気候変動の予測と組み合わせながら、10年先、20年先にどのような品種が求められるか、それをどのような方法で育成していくかを考えて、未来の作物をデザインしていかなければなりません。これが私の研究テーマです。

──プログラムを通じて得たものは?

毎月の連続セミナーに参加し、学際的な試験も受けました。いまでは育種だけでなく、より広い生物の視点から、プラットフォームを勘案しています。ほかの学科の視点から、プラットフォームがどうあるべきかを示唆されることは刺激的です。(私自身は農学に在籍していますが)情報学の鹿島教授からテクニックを身に着けるためのサポートを受けています。

──あなたにとってプラットフォームとは?(あるべき姿、作っていくべき未来など)

育種の学生としては、育成すべき品種が掲出されるプラットフォームができてほしいと思っています。目標は収量を高めることだとしても、食品にすることを考えるなら品質も大切になるでしょう。現状では農家などを訪ねたり、インターネットを探したりして、どのような形質を希望しているかを調べる必要がありますが、その形質を決める議論の土台となり、リファレンスになるような情報が集まる場ができ、ビックプラットフォームになっていけばいいですね。

──いまの世界をほんの少し良くしようと思ったら、何が必要だと考えますか? もしくは何をしたいと思いますか?

世界では今後の数十年間で、アフリカなどを中心に億単位の人々の食料需要を満たせなくなると言われています。気候変動など人類の未来に備え、雨が降らない地域でも増やせる小麦など、作物を改良し、社会の貧困をなくしたいと思っています。これからの10年、20年で未来の品種を作りたいですし、地球の人口が今後さらに増えていってもフィットするようなものにしたいですね。

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