──プラットフォーム学を志した理由は?
理論的な研究を進めていると、どうしても社会との距離が空きがちになってしまい不安になることがあります。プラットフォーム学はいろいろな研究を実社会で応用し、広げていこうとする学問です。様々な応用例に触れることでインスピレーションを得て、自分の理論を社会に応用する道筋が見えるのではないかと考えました。こうしたプラットフォーム学自体の面白さに加え、経済的な支援も受けられることも魅力でした。在学中の経済的な支援について選択肢が広がるのはありがたいです。
──現在取り組んでいるテーマは?
プログラミング言語の安全性を担保する「型システム」について研究しています。この分野で成果を出している五十嵐・末永研究室で、メタプログラミングの機能を研究しています。プログラミング言語自身をプログラミングする機能であるメタプログラミングは、非常に強力で昨今の言語には必須のものとなっていますが、一方でやっかいなバグを生みやすい黒魔術的な側面があります。メタプログラミングのための型システムを設計することでそのようなバグを未然に防ぎ、安全なメタプログラミングを実現する研究しています。
──プログラムを通じて得たものは?
プラットフォーム学展望・連続セミナー特別企画として、まつもとゆきひろさんの講演を聞くことができました。プログラミング言語を設計し、どう普及させていくかについてのお話は刺激になりました。講義やセミナーでは、他分野の人々の意見を聞くことができますが、そこから共通の課題が見えてくるのも面白いところです。持続可能なプラットフォームを作る上では仕組みづくり、使いやすいプラットフォームにするためには情報通信技術としての課題があります。原田先生が実際に国際標準規格の策定に関わった際の経験を聞くことができたのもよい知見になりました。
──あなたにとってプラットフォームとは?(ご自分の研究をもととして)
(メタプログラミングは)プラットフォームづくりを支援するための要素技術になりうると、出願時から考えていました。データ集約型のプラットフォームを作るためには、データベースとやり取りするプログラムが必要になるからです。現在でもこのような機能にメタプログラミングが用いられていることは多いですが、より安全でバグの少ないプログラムが求められています。副指導教員の田島先生はデータベースが専門です。一般的なデータ集約型のプラットフォームだけでなく、IoTを使った分散型のプラットフォームを作るためにはどのような言語が求められるかなども考えてみたいと思います。こういう機能が欲しいというニーズはこうした研究を始めるきっかけになるはずです。
──いまの世界をほんの少し良くしようと思ったら、何が必要だと考えますか? もしくは何をしたいと思いますか?
プラットフォームの構築とはインフラを作ることだと言い換えられるかもしれません。インフラを整備することの利益は長期的なもので、社会に余裕がないときは軽視されがちです。だからこそ社会全体でインフラに投資することを理解して、積み上げていくことが求められていますし、それを誰かが作る必要があります。理論研究も学術の世界でのインフラであると私は考えています。自分もこのインフラの整備に寄与できればと思い研究をしています。
Interview一覧へ戻る