──プラットフォーム学を志した理由は?
今後重要性が増すデータ科学を、分野を横断しながら俯瞰的に学べる点に魅力を感じたためです。私の研究は農業水利施設の防災に関するものです。近年、農林水産省もデジタル技術を生かした防災・減災対策によって、安心安全な農業農村地域を作っていくことを目指しています。このような背景から,将来的に自分の研究につながる内容を基礎的な部分から学べる点が良いと考えました。
──現在取り組んでいるテーマは?
想定外の災害を克服するための新規シミュレーション手法の開発を目指しています。ここで「想定外」というのは、溜池や農業用のダムなどの設計上では、起こりえないと考えられている未曾有な災害を指しています。実際、東日本大震災や近年の豪雨災害などによって、河川の堤防やダムが決壊し、大惨事につながった事例も発生しています。このような災害が起きた際の挙動を正確に予測するために、多元的な物理現象を包括的に解析できる手法を目指し研究を進めています。
──プログラムを通じて得たものは?
自身が開発したものを、どのように普及させていくのかについての知見を得ることができています。数値解析手法を開発し、将来的には自身の手法(防災の予測シミュレーション)を社会実装していきたいと考えています。これに関連してオープンソース化についてや、競争を勝ち抜き生き残るプラットフォームとなるには何が必要か等を学ぶことができています。
──あなたにとってプラットフォームとは?(ご自分の研究をもととして)
まだ具体的ではなく、ぼんやりしていますが、シンプルさに重きを置いたプラットフォームを作りたいと思っています。防災に関わる数値解析手法は、非常に多くの種類があり、長所短所がそれぞれにあります。また、特定の物理現象に特化したものも多く、包括的なシミュレーションが難しい現状にあります。さらに時には、同じ物理現象に対し、手法ごとに異なった結果を与えてしまう場合もあります。このような困難さを解決するためには,様々な手法を統一できるようなプラットフォームを構築し、シンプルな手順で様々なシミュレーションが可能になれば良いと考えています。
──いまの世界をほんの少し良くしようと思ったら、何が必要だと考えますか? もしくは何をしたいと思いますか?
失敗に対してもう少し寛容になることだと思います。研究上、論文を出すことは重要ではありますが、それ自体は結果でしかないと考えています。論文という形になるまでに経験した多くの失敗から、得られたこともより重要視されるべきだと思っています。結果主義に陥らず、その裏に隠れた、失敗も含めたそのプロセス全体を応援していける社会になればいいなと思っています。そのプロセスでの失敗や小さな成功は、次の機会、または他の場面で生きる可能性を秘めているはずです。
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