Interview

森林管理は合理性だけでは進まない
多面的な活用ができるデータが揃ったプラットフォームを

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野々山 祥平さん

農学研究科
生物資源経済学専攻

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──プラットフォーム学を志した理由は?

修士1年に入ったあとに説明を聞き、楽しそうだと思っていました。直接的なきっかけは研究室の先生がプログラムに携わっており、誘われたためです。研究のために情報学やプラットフォームに対する知見は必要ですが、触れたことのない分野でもありました。掛け合わせたら面白そうという、興味が先に立った面もあります。

──現在取り組んでいるテーマは?

栗山研究室で、環境経済学、行動経済学、森林政策学分野の研究をしています。森林所有者を対象とした行動分析を行うことで、どのような政策を打ちだせば、森林管理が上手くいくのかを考えていきます。日本の森は疲弊していて、管理不足になっているという指摘もありますが、持続可能な林業を行うためにどのようなアプローチが最適なのか。経済的合理性だけでなく、コミュニティ間の規範なども意思決定に影響を与えます。また、地権に関わる問題なので、自発的に所有者が参加する政策が求められます。どのようなインセンティブを示し、みんなが前向きになれる制度をどう設計すべきかといった研究しています。

──プログラムを通じて得たものは?

9月から毎週の講義が始まって、まだ3~4回ほどですが、機械学習を解説した先生方(筆者注:その後2週間の先生方の講義もとても面白かったです)の講義が刺激になりました。我々が扱うデータはアンケートデータが多いため、分析するデータの数が小さくなりがちです。今まではそこから因果関係を導くための分析を計量経済学の知見から行っていたのですが、近年、機会学習の手法をとりいれた分析も注目され始めています。そうした背景から、機械学習を学ぶ場を提供してくださったのはとてもありがたいことだと思っております。また、データ数とは別の課題として、分析に取り入れることが出来る変数の種類が少ないという課題もあります。森林関係で言えば、樹種、傾斜角などのデータはあまりありませんでした。しかしこれも近年、ドローン技術などの台頭により測定が可能になり始めています。このように、使用できる変数がどんどんと増えていく過渡期である現在、機械学習の知見を用いることで、より正確な分析・予測が可能になります。変数が増えるのは大きい。変数の数を増やす技術があるのに、広がっていないことが分かりました。分野融合の可能性やそこから導かれる未来があると感じられました。

──あなたにとってプラットフォームとは?(ご自分の研究をもととして)

最終的には政策プラットフォームになると思います。定義はまだ明確ではないですが、官・民・学が長期的に政策について議論できるような土台を構築したり、その議論のために必要なデータを(ある水準で)誰でも利用できるようなシステムを作成できれば良いと考えます。後者のイメージとしては、農林水産省が公開している、「地域の農業を見て・知って・活かすDB」があてはまりますが、これらのデータベースにはまだまだ足りない情報が多いと思っています。なるべく多くのデータを集約し、それがあれば何でも分析できるようなものが求められています。EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング:エビデンスに基づく政策立案)がようやく日本で注目され始めているところですが、そのエビデンスとなるためのデータが足りていません。そこで、例えばGISのデータなどを集約して、これを誰でも使用できるようにできたら、政策にも生かしやすくなるはずです。ただし、プライバシーの保護という観点もよく考慮して、それらのバランスが取れたものを構築しなければならないことが課題として残っていると考えます。

──いまの世界をほんの少し良くしようと思ったら、何が必要だと考えますか? もしくは何をしたいと思いますか?

ひとことでいうと、融和と認め合い。他者の尊重であると考えます。精神論になりますが、自分の徳を高めていきたいと思っています。自分が嫌なことをされても、辛抱強く続け、こいつの話だったら聞いてもいいと思えるような、立ち居ふるまい(徳)を高め、広めていく。その先に融和があると思います。私は常識があまりないので、まだまだ皆様から指摘をいただいている現状なのですが、そこにも感謝して、日々を過ごしていきたいと考えています。

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