──プラットフォーム学を志した理由は?
科学的/社会的な課題の解決に寄与するためにフィールド調査をはじめとした研究活動を行っています。研究活動の過程では多様なデータを収集あるいは生産することとなります。そして課題に向かうためには、蓄積されたそれらのデータを的確に処理し、分析することが必要です。そのようなデータ処理・分析に不可欠な技術を身につけるため、さらにデータを基礎として過小でも過大でもない本質を理解して適切に情報を発信する力を身につけるためにプラットフォーム学を志しました。
──現在取り組んでいるテーマは?
2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故によって、多量の放射性物質が飛散しました。私たちは、放出された放射性物質の中で比較的物理学的な残存率が高い放射性セシウム(Cs-137)が福島の生態系の中で移行・分散していく量と経路について調査しています。調査によって得られたデータに人々がアクセスすることによりどのような影響があるかという点は、今後の住民の帰還や社会の復興、放射線生態リスク評価、さらに中山間地生活圏の持続的な維持と森林の管理の上で重要であると考えています。
──プログラムを通じて得たものは?
情報学に限らない様々な分野の専門家の方から実際のプラットフォームの応用例について聞くことができ、自分自身でもプラットフォームの実用例を調べながら、社会の中での展開についてのイメージを深めることができました。今後は複数の分野の方の指導を受けながら自分の専門とするテーマに取り組んでいきます。
──あなたにとってプラットフォームとは?(あるべき姿、作っていくべき未来など)
科学者/非科学者、官/民、文系分野/理系分野、都市域/中山間地域などの区分を越え、て多くの人が共通の社会問題に取り組む際の基盤として情報通信技術を利用したプラットフォームは用いられるべきだと思います。公正性を持ったアクセスしやすいプラットフォームが構築されることによって、放射能災害の場合は風評被害の解消などに寄与できるかもしれないと考えています。
──いまの世界をほんの少し良くしようと思ったら、何が必要だと考えますか? もしくは何をしたいと思いますか?
過去に起こった放射能災害では、多くの住民が突然故郷を去り避難することを余儀なくされました。この社会の中には気候変動や紛争によって住む場所を移る人も多くいます。病気に感染することによって突然体調が変わる人も、自分ではコントロールできない原因によって突然経済状況が変わる人もいます。そのような予想や対処のできないことが起こる状況の中で、それぞれの個人にとっての「いまの世界」は、揺らぎやすく捉えどころのないものであるように思います。全ての個人に対して世界が良くなっていると感じさせるような方法があるかは分かりませんが、自分がプログラムを通じて学んだことを、一部の世界の利益のためではなく、より広い視座からの課題解決のために生かすことができるか考えていきたいです。
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