Interview

尊敬する先輩の姿を見たことが、興味を持ったきっかけ

上田 菜央

上田 菜央さん

農学研究科
森林科学専攻

Outline

──プラットフォーム学を志した理由は?

まず尊敬する先輩がこのプログラムに参加していたこと。2つ目が、地衣類の認知度の低さを実感したことがあります。義務教育では習うことのないマイナー生物ですが、海外ではよく知られています。これを学部の実習で行ったタイで知り、身近な生物を知れる社会を作りたい、そのために自分自身もいろいろなことを吸収したいと考えました。最後が、専門以外の学問領域に対する興味が強かったことです。学部生のころから、専門とは異なる授業を多く取っていて、一見違う研究だけれど、根本が一緒であることを知ったり、刺激を受けたりしていました。プラットフォーム学展望の講義では、ネットワークで使われている知見が、森林生態学分野の調査方法である毎木調査の効率化に生かせると感じました。毎木調査では決まったルールはなく、森林を歩きやすい区画に区切り、蛇行しながら森林の樹種や大きさを記録します。ひとりひとりの方法も区画の大きさも違うので、あまり統一されていません。しかし、データが統一され、効率化できれば、日本の森林状態が把握しやすくなり、植林や木の状態の把握などがさらに客観的にできる指標を作れるのではないかと考えています。

──現在取り組んでいるテーマは?

地衣類の研究です。地衣類は藻類と安定した共生状態にある菌類で、様々な場所を生息地とします。しかし、生息地に関する情報があまりありません。種のチェックリストはあるものの、どういう場所にいるかという記録は岩石、樹木など大まかなものです。そこで地衣類の生息場所の利用は樹皮や樹種の特徴と関係しているなど仮説を立て、それに関連したデータを収集しています。

──プログラムを通じて得たものは?

情報学の知識を現在進行形で学んでいます。私の同期で博士課程に進学する人はほとんどいませんでしたが、プログラムの仲間と一緒に学んでいけること、異なる分野の人や同じ志の人が集まれるのも魅力に感じています。

──あなたにとってプラットフォームとは?(あるべき姿、作っていくべき未来など)

今のところ、私にとってのプラットフォームとは、夢を叶える手段です。私は、将来マイナー生物を誰もが知ることができる世界にすることが夢です。そのためには、多くの人が気軽にそのような生物を認識できるようなプラットフォーム、また、異分野の研究者の新しい調査対象としてマイナー生物を使ってもらえるようなプラットフォームが必要だと考えています。最終的に、それらのプラットフォームが、マイナー生物にとっての「スポットライト」になれば良いなと考えています。

──いまの世界をほんの少し良くしようと思ったら、何が必要だと考えますか? もしくは何をしたいと思いますか?

私はもともと生物が好きなのですが、世界には私もまだ知らない生物がたくさんいます。地球環境の問題を考えている人は増えましたが、もっと身近な視点で周りの生物に目を向けられるような社会になってほしいとも思います。地衣類は森林に多いと思われがちですが、実は都市部にも多く生息しています。しかし、多くの地衣類はカビと認識され、除去されています。一方で、地衣類の利用に関する研究は進んでおり、抗がん作用などがあるという研究結果もあります。限りある資源を無駄にしないためにも、こうしたマイナー生物の研究者が社会と交われる機会を創っていきたいと考えています。

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