──プラットフォーム学を志した理由は?
研究対象は生物で、野外で生態を観察して研究を進めています。従来は人の目を使った研究でしたが、現在では機器を使うことが増え、システムの開発が進むことで、莫大な量のデータを扱えるようになっています。そのデータを目で見て判断するには限界があるため、機械学習やAIの力を借りる必要があります。これを学ぶためにプラットフォーム学のプログラムに参加しました。まずは専門領域を究めたいと考えていますが、ゆくゆくは副領域として、自分たちが集めたデータや分かった事実をほかの人にも提供できるようなプラットフォームの構築にも取り組んでいきたいと思っています。
──現在取り組んでいるテーマは?
スナガニなど、ウミガメの卵を食べにくる生き物の研究です。最初はウミガメの研究から始め、野外調査に行ったのですが、そこでウミガメの卵をイノシシが食べている現場に遭遇しました。ウミガメとその卵を食べる生き物とのつながりを意識した経験で、より広い視点でウミガメと周囲の生き物の関係性を深めていきたいと感じました。
ウミガメは砂浜に卵を産むのですが、この砂浜では海藻や魚の死骸など海から流れ着くものが食物網の基礎となっていることが知られています。ウミガメの卵も海から砂浜にもたらされる餌資源と考えられるので、ウミガメの卵が砂浜に生息する生き物にとってどのような役割を果たしているのかを明らかにしたいと考えて研究を進めています。具体的な結果がまだ出ていないため、面白さはこれからですが、ウミガメの卵がある砂浜とそうでない砂浜で卵の捕食者であるスナガニの数が変わるのかを調べています。
──プログラムを通じて得たものは?
情報学やそこで用いられる機器の知識があまりなかったので、最新の技術動向から基礎知識まで得るものが多いと感じています。特にセミナーについては、社会で利用されているプラットフォームのケーススタディを知ることができるので、プラットフォームとは何かとより具体的に考える材料になっています。
──あなたが作りたいプラットフォームは?(ご自分の研究をもととして)
データや論文、知識などを集約し、別の人たちが自分のニーズに沿って使える、そんな「集めて、使える場」がプラットフォームだと考えるようになってきました。プラットフォームと聞いてすぐ思いつくのは、検索エンジンや身近なソフトでしたが、農業、水産業、林業、防災、医学など、様々な領域の実例を知り、それぞれに即したプラットフォームがあることを知り、その認識が変わりました。千差万別というか、自分が思っているよりも広い分野に応用が利くものです。データを集めることに注力するか、集めたデータを使用する人のニーズに応えたものにするのか、その統合を目指すのか。形態も様々で、利用する場所や人もさまざまで幅広い。情報学の領域だけでも、生物学の領域だけでもない。限定されたものではないと思うようになっています。
──いまの世界をほんの少し良くしようと思ったら、何が必要だと考えますか? もしくは何をしたいと思いますか?
いまの社会では、スマートフォンを使って様々な情報にアクセスしたり、SNSを使って様々な人とつながったりすることができます。でも、逆に話し合いは減っているように感じます。匿名の誹謗中傷があったり、ステレオタイプで観念が凝り固まってしまって、ほかの考え方を受け入れられないといった状況も見受けられます。こういう時代だからこそ、人と人がしっかり話し合って問題解決ができたらと思います。
Interview一覧へ戻る