Wi-SUN技術を普及させ、プラットフォームを支える技術にしたい

──プラットフォーム学を志した理由は?

(プログラムコーディネーターの)原田博司先生からプラットフォーム学のプログラムがあることを聞き、興味を持ちました。自分が取り組んでいる研究(IoT)と親和性が高いこともあり、「良かったらどうですか」というお勧めをいただきました。新しいことを始めることになりますが、プラットフォーム学で取り組む内容は、自分の研究との共通部分が多い点も参加しやすいと感じた理由です。あまり、かけ離れていると両立が難しくなってしまいますので。

──現在取り組んでいるテーマは?

IoT向けの無線通信機器を向上させる技術についての研究で、IoTでモノとモノを繋いだ大規模なネットワークを作ることを構想しています。Wi-SUNの仕組みを使い、どのようなネットワークを作るか。トポロジーの組み立て方に関するアルゴリズムを見直し、データ送信までの無駄をどう削減できるか。こうしたネットワークからの視点で、通信効率を向上させる研究をしています。

──プログラムを通じて得たものは?

プラットフォーム学セミナーでは、講義ごとに異分野(農学、医学)の講演を聞くことができました。この講義では、他の分野の研究内容が紹介されるだけでなく、自分が研究している通信分野に対する応用事例も紹介されます。それにより「研究の橋渡し」となるような今後の通信分野に対する需要や要件を知ることができました。こうした知見は複数の学部や学科を横断した講義を通すことで得られるものであり、このプラットフォーム学の講義を受けなければ得られなかったと思います。

──あなたが作りたいプラットフォームは(ご自分の研究をもととして)?

自分が研究している無線通信機は難解な部分も多いため、誰でも使えるように発展させていくことで、広く世に浸透させていきたいと思っています。4Gであれば携帯電話というのと同じように、「IoTと言えばWi-SUN」といったイメージです。IoTだけを目的とするのではなく1対1の高速通信や長距離にも及ぶ多段接続など、研究を通じて使用可能領域が増えていけば、利活用が進んでいくのではないかと期待しています。未来がどうなるかはわからないですが、使われるためには、対象を広げ、選択肢を増やしていくしかありません。
これはプラットフォーム学で学んでいることにも通じますが、大事なのはやはり「最も使いやすい」ということです。IoTの分野で頭ひとつ抜けた「使いやすさ」を提供できた時に初めて、利用範囲が増え、プラットフォームとして受け入れられるものだと思っています。

──いまの世界をほんの少し良くしようと思ったら、何が必要だと考えますか? もしくは何をしたいと思いますか?

通信技術が発達すればするほど、データ収集などの効率が上昇するための現場領域の技術者などは自分のやりたいことを優先できる流ようになると思います。縁の下の力持ちではないですが、人間がやりたくないことは、通信技術が裏でやっておくので、人間はやりたいことをやっていい。通信技術にはそういった肩代わりをやってもらいたいです。

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