農作物に被害をもたらす害虫を天敵を使って防除する

──プラットフォーム学を志した理由は?

このプログラムを知った直接の機会は入学式直後、農学研究科のオリエンテーションでした。私は農学研究科の学生なので、情報学などの知識は普段あまり使いません。しかしながら、私自身の研究テーマにおいて、センサーなどの知識が手に入れられれば便利だと感じたのが履修を決めたきっかけです。

──現在取り組んでいるテーマは?

天敵を使った害虫の防除です。さまざまな害虫に対応するためには、複数の天敵が必要となりますが、そうすると複数の天敵(昆虫やダニ)の間で相互作用が発生する可能性があります。また、環境の変化、特に気温の変化も害虫の活動に影響を与えます。地球温暖化が天敵と外注の間にどのような影響が出てくるのかも研究テーマです。
病害虫は植物保護、病害虫、雑草、作物などに影響します。この問題を解決しなければ、病害虫は増え続け、世界人口の食糧生産を支えることが難しくなる可能性も指摘されています。
一般に気温が上昇すると競争が激しくなります。高温になると、天敵の体は小さくなり、死亡率は上がり、産卵数も減る傾向があります。一方、害虫の体には小さな影響しか出ません。こうした環境の変化に合わせて、農家が天敵を利用した害虫の防除を最適化できるようにしたいと思っています。

──プログラムを通じて得たものは?

データをまとめて分析するための手法を学ぶことができています。プラットフォーム学を履修している学生にはさまざまな人がいて、そのことも刺激になっています。

──あなたが作りたいプラットフォームは(ご自分の研究をもととして)?

異なる地域の気候、害虫の種類、土着天敵の種類をまとめ、そのデータを集約し、分析することで、最適な天敵放出モデルを得られるプラットフォームです。相互作用や、放出された天敵が土着の天敵に悪影響を与えていないかなどの情報を取り入れて、総合的な判断できるようにしたいと思っています。
世界で考えれば、作物のでき方は地域によって全く異なります。農家さんが害虫の種類、気候、畑でどんな別の作物を作っているかなどを入力して、どういう天敵をいつ放出するかの情報が得られるのであれば大変有益だと思います。
農家が実際に防除する際はまず害虫を探す手順が複雑です。センサーなどを用いれば、その情報がより手軽に得られると思います。また、実験室の環境と実際の畑では、温度や降雨量など差異も大きく、実験室だけではわからない状況もあります。農家の人々の発見や知識をまとめることから得られる発見もあるのではないでしょうか?

──いまの世界をほんの少し良くしようと思ったら、何が必要だと考えますか? もしくは何をしたいと思いますか?

化学薬品や農薬が生態系や人間の健康に悪い影響を与えると指摘されています。こうした化学物質の影響を減少させることに加えて、最適なコストで新しい技術を導入できることにはメリットがあると思います。環境問題への対策はお金がかかるため、発展途上国はこれを避ける傾向があります。そのため、環境問題は法制度を整え、国が実行する必要があります。その監視をするためには、データの収集が必要ですが、現状は専門知識が足りない人が多く、参考にできるものが少ない側面があります。こういった現状を打開したいという思いを持って研究に臨んでいます。

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